「クローゼット・スタジオ通信」その13   自宅でナレーション音声を録音 ~「宅録」のプロセス その5 ~

コムワークス「ボイスダイレクトサービス」登録ナレーター・中村ゆきこです。
「ナレーションの宅録」を中心とした、現役ナレーターならではのあれこれ・現場の臨場感あふれる(?)こぼれ話などをお伝えする「クローゼット・スタジオ通信」。
今回もどうぞおつきあい下さい。
今回は、「宅録ナレーションの『トーン』『印象決定』」後編です。
作品の仕上がりに大きく関わる「ナレーションのトーン」。
スタジオ録音と異なり、
細かいニュアンスがご指定いただき辛い宅録ナレーション。
しかし、百戦錬磨のナレーターは、
ご満足いただくべく、最適な「正解の音」を狙っていくのです!
◎宅録ナレーターの技「トーンとイメージ」決定のプロセス
前号では、事前取材の項目、
・使用目的
・使用媒体
・使用規模
・・・についてご紹介しました。
それぞれ「なるほどね」とご納得いただけたのではないでしょうか。
今回は後半、です。
   ~ ~ ~・聴取、視聴対象 
制作するナレーション音声を聞いていただく方は、
どういった方なのか。
具体的には、
・年齢層
・性別
・ご職業
・・・などです。
明確であればあるほど、的確なイメージで原稿を読み込めます。
私の場合、もちろん不特定多数に聞いて頂くことも考慮しますが、
むしろ、はっきりとした対象をお一人、脳内に形作って、
「その方(かた)に向かって語りかける」つもりで、
原稿を喋らせていただくことが多いです。
たとえば、化粧品のPRナレーションの場合。
商品の購買ターゲットをリサーチ、
その上で、
「40代の女性、独身で営業職のキャリアウーマン、
 美容と健康に高い関心がある。
 ファッションの好みはフェミニン系、髪型はロング」
などなど、かなり具体的に「顧客モデル」を作り上げます。
結構な「脳内妄想」、ですね!
対象を明確化することにより、
はっきりとした方向性のある、芯の通った表現の表出につながります。
ナレーションの場合、
「声優」とは表現のベクトル・方法論が似て非なるもの、と考えています。
「声優」は、アニメにしろ吹き替えにしろ、
特定の人格、ひいてはその人物の声を形作るものですが、
「ナレーション」は、内容を伝えたい人物に向かって、
ナレーターが「この声なら伝わる!」と確信する表現を形づくるもの、
・・・と言えるでしょうか。
いずれにしろ、
喋り手が「全身全霊をかけて」取り組まねばやり遂げられない仕事、
プロとしてのクオリティある読み・語り・喋りを、
「いつでも・どこでも・どなたにでも」ご提供させていただけるよう、
精進の日々であります!
・・・う~ん、長くなってしまいましたね。
ナレーションのトーン決定要因、「使用目的」については、
次回「後編その2」にて!
今回の「クローゼットスタジオ通信」はこの辺で。
次回もよろしくお願いいたします! 
中村ゆきこでした。
https://sharakubin.com/info/nakamura14/